ペロブスカイト(灰チタン石) perovskite CaTiO3   戻る 

斜方晶系(結晶外形はは6面体や8面体で等軸晶系の単結晶のように見える) 二軸性(+,−),2V=90°前後 α=2.30前後 β=2.34前後 γ=2.38前後 γ-α=0.01〜0.08 干渉色は産地により大きな違いがある。

形態:自形のことが多く,正6面体〜正8面体やそれらの集形で,その断面が多角形に見える。微小な他形粒状のこともある。

色・多色性:褐色で多色性はない。

消光角:定義されない。

へき開:6面体の方向に沿って見られることがあるが不明瞭。

伸長:定義されない。

双晶:クロスニコルで時に結晶内部に集片双晶が認められる(結晶外形は6面体や8面体で等軸晶系の単結晶のように見える)。

累帯構造:通常は認められない。

産状

くさび石(CaTiSiO5)ができないような非常に低ケイ酸条件でできる。したがってキンバレー岩・カーボナタイト・苦鉄質のケイ酸に乏しいアルカリ岩に産し,かんらん石・金雲母・チタン鉄鉱・方解石・磁鉄鉱などと共生する。カーボナタイト中のものは著量の希土類・Na・Nbを含むことが多い(ロパライトという)。

また,高温スカルン中にゲーレン石の包有物として産したり,蛇紋岩化した超苦鉄質岩中に磁鉄鉱・ヒューマイト系鉱物・ドロマイトなどに伴って粒状で産する。



高温スカルン中のペロブスカイト Pv:ペロブスカイト,Geh:ゲーレン石,And:アンドラダイト 
高温スカルン中のゲーレン石(干渉色は1次の灰〜白色)に包有される褐色の自形のペロブスカイト。結晶外形は等軸晶系を思わせる正8面体や正6面体で,平行ニコルではその断面が4角形や6角形などに見えている。しかし,実質は反復双晶した斜方晶系であり,クロスニコルで1次の白色の干渉色を示し,反復双晶がラメラ状に明瞭に見られる。なお,これはペロブスカイト生成後に変成流体中のケイ酸分の濃度が上昇し,ややTiに富む橙褐色のアンドラダイトがその周囲に形成されている。
※干渉色がこれよりも高いペロブスカイトもある。